ダイバーシティ。 ダイバーシティ・マネジメントとは?人事にできる推進方法と事例をご紹介

ダイバーシティ・マネジメントとは?人事にできる推進方法と事例をご紹介

ダイバーシティ

平成24年度から3年間で141社を表彰しました。 近畿経済産業局管内では、平成26年度は11社が表彰されました。 近畿経済産業局では平成26年度に選定された近畿管内の企業の取組を5回に分けて紹介させていただきます。 今月号は第4回目として2社の取組をご紹介いたします。 株式会社ミライロ 障がいを価値としてとらえるバリアバリューを実践、新規事業を創出し障がい者の活躍機会を拡大 ダイバーシティ経営の背景 障がいのある当事者の目線を活かしたビジネスを展開する、株式会社ミライロ(以下「同社」)は2010年、社長が大学在学時に設立したベンチャー企業です。 店舗や設備、製品などのユニバーサルデザイン化に伴う企画や設計などのハード面、店舗で提供されるサービス、サービス提供者への教育などソフト面のコンサルティングを主たる事業とし、商業施設、教育機関、ホテルや結婚式場など、障がいのある人をはじめ様々な人が利用する場で起こる普遍的かつ潜在的な問題の解決を図っています。 社長自身、先天性の骨形成不全症という障がいがあり、また社員の4割が何らかの障がいがあり、当事者としての視点や観点からサービスを提供しています。 大学1年生当時、社長はとあるホームページ制作会社で営業として働いており、車椅子での営業ながらその成績は非常に良く、そのときに勤務先の社長から「営業マンとして顧客に覚えてもらえるのは強みだ。 君が歩けないからこそできたことじゃないか」と言われたそうです。 「『歩けなくてもできること』ではなく、『歩けないからこそできること』があるのではないだろうか」。 同社の企業理念である「バリアバリュー」は社長の実体験から生まれたものです。 「歩けないからこそできること」から始まったバリアバリューの理念は、必ずしも障がい者のみに当てはまるものではなく、高齢者や外国人、また何らかのコンプレックスを抱えている人まで、社会で何らかの不自由を感じている人々に共通して当てはまる概念です。 現在は、障がい者の視点を生かして企業・自治体・教育機関などにユニバーサルデザイン化のサービスを提供していますが、将来的には障がい者に限らずこれまで社会で不安を感じていた様々な人々の視点を取り入れ、新たな価値を社会に生み出すことを目指しています。 取組内容 (1)社員が働きやすい環境を作るためにIT ツールの整備を徹底 ChatWorkを利用した業務風景 障がいのある社員の中には、予測できない体調不良や怪我をしてしまうこともあり、場合によっては出社が難しいこともあります。 そこで同社では、日々の業務が体調に左右されないよう、在宅でも通常通りの仕事ができるようなITツールの整備を徹底しています。 ChatWork というチャットツールを使用することにより、遠隔地同士でのビデオ会議を通じたプロジェクトの実施や進捗管理が可能となり、体調に応じて自分のペースで自宅にて業務を行うことができます。 さらに、スマートフォンで開くとスクリーンリーダー(視覚障がい者の方などのために、画面に表示された文章を音声で読み上げる機能)で読み上げがしやすく、視覚障がいのあるスタッフとのコミュニケーションにも役立ちます。 ChatWork の開発は、ChatWork 株式会社が障がい者にとって使用しやすいツールの開発を進める中で、同社に声掛けがあったことがきっかけとなっています。 同社がアクセシビリティ対応のコンサルティングを行うことにより、ChatWork 社は障がいのある当事者目線での製品開発とマーケティングが可能となり、一方で同社はより使いやすいIT ツールを手に入れることにつながり、業務の効率化を実現することができ、双方にとって大きなメリットがあった共同研究となりました。 (2)既存ビジネスの拡大から障がい者の多様な働き方を実現 同社では創業より、「ユニバーサルマナー」という障がい者や高齢者に対する向き合い方や対応方法を幅広い人々に伝える研修事業を行っています。 2013年度にはユニバーサルマナーの習得を資格化した「ユニバーサルマナー検定」をリリースするとともに、オンライン受講の開設、美容院や交通機関、教育機関などシーン別のカリキュラムの拡充にも今まで以上に力を入れ始めています。 研修事業を拡大、継続するために、研修に必要なプログラムを全国各地で実施できる人材が必要でした。 同社では、ユニバーサルマナー検定の拡大と障害のある講師の育成を同時に加速させることによって、障がい者が活躍できる環境を生み出しています。 現在、研修や講義の受講者数は延べ1万名を超え、ユニバーサルマナー検定の受験者も3,000名を超えています。 東京、大阪、福岡では障害のある講師が2名ずつ活躍しており、研修や検定の広がりとともに障がい者の働く場の創出にも繋がっています。 成果 (1)ChatWork 導入による大幅な業務効率化 ChatWork というIT ツールを導入する前は、どのように社員の時間をやりくりしたとしても、同時進行で対応可能な顧客のキャパシティは7社程度でした。 また、1人が抱えている顧客の数ややり取りの頻度が多かったこともあり、業務上のやり取りの重複や連絡のし忘れなどのミスも頻発していました。 しかし、チャットツールを導入した後は作業の効率が上がり、およそ3倍の27社まではプロジェクトの同時進行がコントロールできるようになりました。 1つのプロジェクトは複数の社員が関わって実施されますが、チャットツールの導入により情報の最適な配分と迅速な共有が可能となり、結果として、業務内容やスケジュール確認のために社員間や顧客との間でやり取りをされていた電話やメールの頻度は減り、各社員が必要な仕事に集中できるようになりました。 従来は1つのプロジェクトを運営する上で4、5名の人員が必要であったところ、ツール導入後は3名でもこなすことができるようになっています。 時間の余裕ができたことにより仕事のミスも大幅に減少し、最小限の人員と時間配分で仕事を進められるようになりました。 一度に対応できる業務が増えたことによって、同社では業務の受注数の増加と売上増加を実現しています。 (2)業務の効率化から新たな事業創出を拡大 ITによる業務効率化を通じて、様々な新規ビジネスの創出に力を入れることが可能となりました。 その1つが覆面調査事業で、同社は2014年、覆面調査を行う最大手の会社と連携して、障がいのある当事者がモニター調査として店舗や施設を訪問し、実際にその店舗が同社が提供する研修などの受講を通じてどのように変わっていったのかを評価するサービスを開始しています。 「障がいがあってもアルバイトをしたい」という要望は多いものの、現実には仕事は限られていますが、モニター調査であれば、車椅子の当事者が実際に店舗に行って、当事者の体験からどうだったのかということを評価し、その結果を報告することで対価をもらうことが可能です。 また、店舗や施設だけではなく製品のモニター調査も「ミライロ・リサーチ」というサービス名で提供を開始しました。 従来の製品開発は、企業の担当者が自ら施設に足を運び、障がい者一人ひとりにアンケートをしていたことから時間と労力がかかっていましたが、障がいのある当事者がモニター登録を行い、店舗調査だけでなく製品のモニターも行うことで、コストの大幅な削減が期待されています。 これらの事業自体が「障害を価値に変える」という同社の理念を体現しており、全国に拡大することで障がい者の活躍の機会はこれまで以上に拡大することが期待されています。 掲載関連情報 企業名 所在地 大阪府大阪市淀川区西中島3-8-15 新大阪松島ビル8F 電話番号 06-6195-7853 株式会社STG(旧社名:株式会社三輝ブラスト) 創業当時から積極的に外国人を活用、国外拠点の強化を通じて継続的に売上を拡大 ダイバーシティ経営の背景 株式会社STG(受賞当時の社名:株式会社三輝ブラスト)(以下「同社」)はマグネシウム合金の部品を中心とした各種素材の製造・販売を行っています。 マグネシウム性LEDヒートシンク製品軽量化のスペシャリストとして、現在はタイ、中国、香港にも拠点を置き、グローバルに事業を展開しています。 1997年当時、大手電子機器メーカーが発売しヒットしたノートパソコンの筐体として、マグネシウム合金が採用されたことを契機に、同社の売上は一気に拡大しました。 一方で、その時期の同社の経営は「業務の忙しさに対して働く人材が不足している」という大きな問題を抱えていました。 必要な人材を募集してもなかなか集まらない時期が続いていました。 そこで同社が着目したのが外国人でした。 同社では、1988年の時点で既にバングラデシュ人をはじめとした外国人を社員として採用しており、その後1997年に至るまで、イラン人やペルー人など、複数の国から外国人社員を受け入れていました。 拡大する市場ニーズに対応して同社が成長を続けるためには、日本人を中心とした採用にこだわるのではなく、外国人の応募を今まで以上に積極的に受け付ける必要がありました。 同社の外国人の本格的な採用はこの時期から開始されました。 中国人留学生のアルバイトをきっかけとして外国人社員が増加 主力製品であるマグネシウムダイカスト製品 1997年以降の事業拡大期にアルバイトを募集したところ、当時大阪大学の大学院に通っていた中国人留学生が来ました。 この中国人留学生の紹介を通じ、その後同社には様々な外国人が集い、入社しています。 同社が所在する大阪府八尾市では、ベトナム人が多く住む青山団地というコミュニティが形成されており、外国人がほかの地域よりも多い環境でもありました。 ベトナム人が1名入社すると、その社員を通じて業務内容や待遇などの口コミが広まり、すでに働いている社員からの紹介であるため、まったく知らないところから紹介をしてもらうのと比べて信頼に足る人材が集まるという利点もあり、同社に入社する外国人の性格や内面などの担保は比較的容易でした。 取組内容 (1)海外進出に対する社長の思い 同社では1997年以降、マグネシウム合金がパソコン筐体へ採用されたことで売上を拡大しましたが、同時に主要顧客の海外展開へ対応するため、新たなビジネスの方向性を検討する必要がありました。 社長の思いとしては「優秀な中国人社員や留学生の能力を活かして海外展開に打って出たい」というものでしたが、年功序列での役職登用に近い考え方を持つ日本人社員もいたことから、新たに採用したばかりの中国人社員を育成も経ないまま役職に登用することが難しく、海外展開の中心に据えるのは難しいと考えられました。 そこで、社長は中国進出を視野に、グローバル展開と人材育成の両面から取組を進め、自社の中国人社員が活躍できる素地をつくることとしました。 (2)グローバル化に対応するための専門の組織を設立 海外展開を進めるに際し、2002年にグローバル戦略推進室を立ち上げ、海外進出と人材育成を同時並行で進めることとしました。 推進室の立ち上げに際して、最初に室長の役割を担ったのは1998年に同社に入社した女性でした。 同社が最初に進出しようとしていた中国に強い関心を持ち、中国語の勉強もしていたことと、中国人留学生の能力を活かす必要性を強く認識していたことから白羽の矢が立ち、まずは中国にある日系企業に半年間赴任し、労務管理や戦略的に外国人を活用する上での知識の習得を行いました。 (3)外国人社員への壁を作らないOJT を通じた能力育成 同社では、入社した外国人社員の能力育成のため、あえて日本語レベルがさほど高くはない状態で顧客の前に出し、現場での業務を通じたトレーニングを行っています。 例えば、あるベトナム人社員には、入社後日が浅く、片言の日本語しか話せない頃から顧客への配達を任せていました。 また、顧客への電話対応を外国人社員に担当させたこともあります。 その結果クレームが出てしまったこともありますが、同社では外国人社員を特別扱いせずに人前に出す機会を増やし、問題が生じたらまた考えやり直し、その中で適性を判断しています。 持っている能力を前提として業務に配置するのではなく、日々の現場の中で様々な経験を積ませ、スキルアップを図っています。 「能力を育成するために、あえて不得意かもしれない業務を担当させ、その中で本人の能力ややる気を見る」というのが同社のやり方です。 外国人だからといって特別扱いはせず、日本人社員と同じような役割や育成方法を取っていることが大きな特徴です。 成果 中国・深圳での工場立ち上げと増収・増益 会社全体として外国人の定着を図る中で、同社では1998年に入社した中国人社員が特に能力を発揮しており、近年は彼を中心に中国での業務を拡大させています。 中国・深圳の現地工場の立ち上げは、同社の得意先であった企業の1つが中国の深圳に所在していたことがきっかけで、深圳での工場立ち上げに際し、同社内で能力を持った人材を検討したところ、この中国人社員が一番適しているとの考えに至り、責任者として抜擢しました。 中国での工場立ち上げは2つの点がカギとなっていました。 1つは、現地の言葉や生活環境などの状況をよく理解している必要があるという点ですが、この点については中国人ということで問題はありませんでした。 もう1つは中国での支払面や売上の回収の難しさという点でした。 日本人が売掛金の回収に行ったところで、回収の際のやり取りや商習慣になかなか対応することができずに回収に半年や4か月といった長い期間がかかってしまうことが多く、また、たとえ中国人でも現地での仕事のやり方を熟知しやり切るだけの能力がなければ、回収や支払は滞りますが、この中国人社員は、現地での仕事の仕方や商習慣を十分に把握していたとともに、現地に行く前の日本での仕事ぶりから、成果を出す高いポテンシャルを持っていると期待されていました。 2006年、深圳工場は速やかに立ち上がり、2年目の2007年以降黒字を継続しています。 2013年度の深圳の業績は増収・増益であり、進出当初は1社だった中国での顧客数は12社にまで増加しています。 今期と来期とで比較すると対前年度比3倍の利益が見込まれています。 特にここ1、2年は顧客数の増加もあり利益が非常に増えており、深圳工場の成長は同社の規模拡大と経営基盤の安定に大きく貢献しています。 その後、2011年にはタイの海外現地法人を立ち上げ、日本と海外3か所の生産体制となりました。 日本メーカーの海外展開に的確に対応できるようになったとともに、現地法人を含めたグループ内での最適地生産を行うことができるようになったことで、従来と比較して生産コストの削減が20%ほど可能になり、企業としての経営基盤をより強固なものとしています。

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ダイバーシティの必要性って?導入に向けた取り組み方と効果まとめ│ホワイト化のヒント

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源流は、1981年に出入国管理法が改正され、開発途上国の経済発展を目的として外国人研修制度が設けられたことにある。 1980年代後半=バブル景気の頃になると、南米の日系人、次いで、パキスタンやバングラデシュ、イランなど中近東から労働者がやってきた。 当時、日本は単純労働者の受け入れを認めておらず、多くは観光ビザや学生ビザなどで来日し、不法就労の形で建設業や製造業に携わった。 1990年に入管法が改正されて在留資格が整備されると、日系人については職種の制限なく就労が認められるようになった。 外国人研修制度も同年に緩和され、商工会議所などによる団体監理型が導入された。 1993年には新しく技能実習制度が始まり、研修終了後も追加で最大1年(後に2年)の滞在が許可された。 そして、2019年、少子高齢化による深刻な人手不足を背景に、いよいよ、日本も外国人労働者の積極的な受け入れに踏み込むことになった。 出入国管理法の改正(2018年12月8日、国会において「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立)により、「特定技能」という新しい在留資格をつくり、建設、介護など14業種において、幅広く外国人の労働を認めることになったのだ(2020年時点での詳細は、日本の「ダイバーシティ」社会に、外国人労働者は何をもたらすか?参照)。 ほかにも、近年では、再雇用制度や定年引上げによる高齢者の雇用拡大(労働力の確保)、また、LGBTに対する企業の理解や支援の広がりなども、働き手の多様性(ダイバーシティ)を考えるうえでの大きな流れになっている。 もちろん、障がい者雇用の拡大も特筆に値する(2020年時点での詳細は、さまざまな障がい者の雇用で、それぞれの企業が得られる強み参照)。 注)「オリイジン」の最新号は「オリイジン2020」です。

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ダイバーシティ&インクルージョン : 富士通

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源流は、1981年に出入国管理法が改正され、開発途上国の経済発展を目的として外国人研修制度が設けられたことにある。 1980年代後半=バブル景気の頃になると、南米の日系人、次いで、パキスタンやバングラデシュ、イランなど中近東から労働者がやってきた。 当時、日本は単純労働者の受け入れを認めておらず、多くは観光ビザや学生ビザなどで来日し、不法就労の形で建設業や製造業に携わった。 1990年に入管法が改正されて在留資格が整備されると、日系人については職種の制限なく就労が認められるようになった。 外国人研修制度も同年に緩和され、商工会議所などによる団体監理型が導入された。 1993年には新しく技能実習制度が始まり、研修終了後も追加で最大1年(後に2年)の滞在が許可された。 そして、2019年、少子高齢化による深刻な人手不足を背景に、いよいよ、日本も外国人労働者の積極的な受け入れに踏み込むことになった。 出入国管理法の改正(2018年12月8日、国会において「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立)により、「特定技能」という新しい在留資格をつくり、建設、介護など14業種において、幅広く外国人の労働を認めることになったのだ(2020年時点での詳細は、日本の「ダイバーシティ」社会に、外国人労働者は何をもたらすか?参照)。 ほかにも、近年では、再雇用制度や定年引上げによる高齢者の雇用拡大(労働力の確保)、また、LGBTに対する企業の理解や支援の広がりなども、働き手の多様性(ダイバーシティ)を考えるうえでの大きな流れになっている。 もちろん、障がい者雇用の拡大も特筆に値する(2020年時点での詳細は、さまざまな障がい者の雇用で、それぞれの企業が得られる強み参照)。 注)「オリイジン」の最新号は「オリイジン2020」です。

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