ネット 誹謗中傷 怖い。 ネットやSNSで誹謗中傷する人が減らない6つの理由(他人事ではない)

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ネット 誹謗中傷 怖い

そのさなか、女優・春名風花(19才)が自らのSNSに、ネットの誹謗中傷被害に関する刑事告訴状の受け取りを警察から拒否されたと報告。 ちょうどこの頃、社会問題に関する意見をツイッターに投稿し始め、その発言の鋭さから世間の注目を集めていた。 「そのなかには、誹謗中傷どころではない、ぼくへの殺害予告までありました。 実家の住所も公表され、そのせいで、怖い思いもたくさんするように…。 あまりの恐怖に、家から一歩も出られない日々が続きました」(春名さん・以下同) こういった誹謗中傷を発端とした嫌がらせにより、仕事にも支障が出てきた。 2016年に彼女の出演する舞台が公演される劇場や所属事務所に、爆破予告が投稿されたのだ。 劇場は厳重警備をせざるを得なくなり、開演期間中は入口で手荷物検査を行い、私服警官に巡回してもらった。 「管轄の警察署の生活安全課には何度も相談に行き、被害届も出しました。 当時はSNSの事件が少なく対策も進んでいなかったんです。 結局、実家の近所をパトロールはしていただけたものの、爆破予告犯について捜査してもらえることはありませんでした。 警察も誰も助けてくれない…。 しかし、春名さんはまだ高校生。 総額100万円以上かかるとされる弁護士費用など、すぐには用意できなかった。 本業や学業の合間にアルバイトにも励んでコツコツとお金を貯め、ネット被害に詳しい弁護士を探しつつ、がまんの日々が続いた。 しかしその間もツイッターは続けた。 「本心ではツイッターをやめたかった。 でも、ぼくがやめればほかの声を上げられない人に被害がいくかもしれない。 誹謗中傷する人はいつもターゲットを探していますから。 それは防ぎたかった。 そしてついには、「彼女の両親自体が失敗作」など、身内や知人までをも侮辱する投稿が相次ぐように。 これが春名さんはどうしても許せなかった。 「家族を侮辱した方が傷つくだろうとわかってやっているのが、本当に卑怯です」 この件であらためて、誹謗中傷犯を特定することを心に決め、2018年10月、ついに弁護士に依頼した。 春名さんと弁護士はまず、両親を中傷した投稿者に狙いを定め、プロバイダーに対し、住所や氏名を開示するよう依頼する「発信者情報開示請求訴訟」を起こした。 春名さんの担当弁護士でサイバーアーツ法律事務所代表の田中一哉さんはこう話す。 「ネットの誹謗中傷事件では、発信者を特定するまでがもっとも大変。 特に本件は、犯人がいくつものプロバイダー業者を介して書き込みしていたため、特定までに手間と時間がかかりました。 これを個人で行うのは不可能に近い。 専門知識のある弁護士に頼んでください」 そして、1年後の2019年11月、プロバイダーから投稿者の住所と氏名が開示された。 「ネット上の誹謗中傷犯は不特定多数の人を味方につけて、姿も見せず、ぼくを攻撃できる。 つまりこれまでは、見えない敵から殴られるだけのサンドバッグ状態でした。 でも、身元がわかり、相手を現実世界に引っ張り出せたいまは、ようやく対等に闘える。 本当にうれしく思いました」 しかしこの朗報と同時期に、もっとも訴えたかった相手を逃してしまう。 爆破予告が3年の時効を迎えたのだ。 春名さんはこのときの思いをブログでこう綴った。 《時効って何なんだろう。 時が経ち、やった側が忘れても、やられた側の傷が癒えることなんてないのに。 少しでも子どもたちに安全なインターネットを残したい。 同じような想いをする人が、ひとりでも居なくなりますように》 侮辱罪の時効は1年、名誉毀損は3年と時効が短い。 また、ネット上の通信記録は3か月もすると自動的に消えてしまうので、訴えようとしている間に証拠が消えてしまう。 とにかくスピード勝負なのだ。 「こういったケースでは通常、民事訴訟を提起する前に、いわゆる示談で終わることも多いのです。 しかし本件の加害者はすでに示談金の支払期日を無視。 それで、刑事告訴もすることにしました」(田中さん) 示談なら、慰謝料を支払えばそれで解決する。 しかし刑事告訴なら、氏名が公表され前科がつく。 春名さんは、そこまでした理由をこう語る。 「実は、発信者情報開示請求訴訟の提起後、相手から示談の提案がありました。 お金がないなら払えるように頑張って働いてほしかった。 それほどの罪を犯したのですから」 同様の被害を受けている人たちへの思いもあった。 「誹謗中傷をした人が逮捕されて実名が報道されれば、軽い気持ちで誹謗中傷する人は少なくなるだろうと思ったんです」 しかし、ここで思わぬことが起きた。 彼女の地元の神奈川県警が告訴状の受け取りを拒否したのだ。 そして4日後に本当に返送してきました」 この件を、春名さんはSNSに投稿。 ニュースになった。 母も恐怖と怒りで震えており、そんな電話をとらせてしまい、申し訳ない気持ちになりました。 ぼくはすぐにSNSにこの件を投稿しましたが、世の中には、加害者だけでなく、警察の対応によっても泣き寝入りしている被害者が大勢いると実感しました」 春名さんが世間に事実を訴えたこともあり、9日後には告訴状が受理され、刑事事件として捜査が開始された。 「ネットで中傷してくる人は、何度もそういった投稿をしています。 数人の誹謗中傷犯を特定したら、同じ人だったということがよくあるんです。 ですから、もしすぐに訴えられなくても、再度タイミングが来るかもしれません。 あきらめるより、対抗心を燃やした方が、いい方向に道が開けると思うんです」 いま、ネット上に匿名性はない。 必ず、投稿者は特定できる。 少女時代から続いた長い冬が間もなく明ける。 【春名風花 名誉毀損事件とは?】 2010年にツイッターを開始すると誹謗中傷が相次ぎ、2016年には殺害・爆破予告もされる。 2018年10月15日に田中一哉弁護士に投稿者の特定を依頼。 春名さんの母親が告訴人になり、11月21日、ツイッター社に発信者情報開示請求の仮処分を申し立てる。 それを受け12月28日に開示された後、2019年5月からプロバイダーに対する発信者情報開示請求訴訟を開始。 11月1日、勝訴。 東京地裁は名誉の侵害を認め、損害賠償請求のために投稿者情報開示を求める理由があると判断した。 2020年1月14日、春名さんの母親が投稿者に対し民事訴訟を起こし、同時に神奈川県警に告訴状も提出。 2月7日に受理。 現在捜査中。

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「誹謗中傷」がネット沸騰 芸能人たちが多数反応

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そして19年10月には本当に亡くなってしまったわけです。 遺書はなくはっきりとした動機は不明なのですが、事件性はなくメモの内容などからネットでの誹謗中傷が原因と判断されています。 ソルリ法案というのはネットでの悪質な書き込みの規制や罰則の強化です。 かつて韓国ではインターネット実名制というのも法案に上がったようですが、それは当然のように違憲とされ・・・。 罰則の強化にしろ、処罰の件数を増やすにしろ、ネットの誹謗中傷の規制というのは難しいんですよね。 いま日本でも同じことが言われていますが、ネットの悪質な書き込みは「表現の自由」という壁があるわけですね。 誹謗中傷と表現の自由って感覚としては違う気がしちゃうけど、それを法律にするとなると難しいでしょうしね。 例えば今もやっているのか知らないけど、ナイツが芸能人のスキャンダルを漫才ネタにしていましたが。 あれって名誉棄損と言われればそんな気もしちゃうし、表現の自由と言われれば面白いからOKって気にもなるし・・・。 ネットの書き込みが若い人の命を失う、そんな悲劇は絶たないといけません。 そのための対策は必要ですが、憲法が定める「表現の自由」を損なうことがあってはなりません。 ネット中傷対策 自民が厳罰化検討 「表現の自由」規制に懸念 :東京新聞 TOKYO Web — 東京新聞政治部 tokyoseijibu ネットの誹謗中傷は罰則の強化よりも処罰を増やすことが悪質な書き込みの防止につながると言われています。 でも現状では誹謗中傷した相手を特定するのも手間だし、時間もお金もかかってしまう。 だからこそ、よほどのことがない限りは有名人も泣き寝入りをするわけですが・・・。 それをもっと簡単にすると良いというわけですね。 僕もネットの誹謗中傷に関しては、有名人はどんどん強気に出て相手に怖い思いをさせてほしいと思っています。 でも現状はそれを実行するのが大変なわけですからね。 特定が簡単になれば今度はプライバシーの問題とか、冤罪的なものとか生まれるかもしれないし。 警察とかの担当者だってたくさん必要でしょうが、そこまで手が回るのか・・・。 ネットの誹謗中傷は不快だし、なんとかしてもらいたいという気にはなるのですが。 そう簡単には事が進まない難しい問題みたいですね。

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人間である限り、妬みや嫉みといった感情と無縁で生きるのは難しいが、それを人にぶつけないように工夫して生きられるのも人間だろう。 ところが、では普通の人が驚くほど簡単に人を罵り、言葉の石を投げつける。 仕事や人生がいまひとつうまくいかないと鬱屈するやポスト団塊ジュニアを「しくじり世代」と名付けた俳人で著作家の日野百草氏が、ネットでのをやめたいのにやめられない40代女性についてリポートする。 * * * 「私だって本当は嫌なんです。 でもやめられないんです。 あの人のことを考えるだけでもうスマホとにらめっこ、気づいたときにはリプ飛ばしてる、本当につらい」 電話口で話す声はとても可愛らしいのに、その内容は実にエグい。 チューミンさん(仮名・ハンドルネームとも関係なし・40代)の電話口の告白は、SNS上でもう5年以上バラまいている誹謗中傷がやめられないという内容だ。 つまりチューミンさんは日々、会ったこともない他人を傷つけ、追い込んでいる女性ということになる。 「朝起きたらすぐスマホです。 気がついたときにはスマホを覗いている生活です。 目的はすべて、フォローしてる女をチェックするためです」 フォローしている女性は有名人だがここでは名前も匂わせもしない約束なので触れないが、チューミンさんはその女性に対する攻撃で何度かアカウントを凍結されている。 それでもめげずに誹謗中傷(チューミンさん的には「批判」であり「意見」)を続けてきた。 ちなみにその女性のことを本稿では「あの女」とするが、チューミンさんの口から出るのは当然ながら実名である。 「帰宅中も、帰宅後もずっとスマホでチェックしてます。 自分のことをつぶやいたりはあまりしません。 するにしてもあの女のことです」 悪口を直接言わずに自分のツイートで相手を誹謗中傷するエアリプ、本来は「 ユーザー名」とあて先をつけてつぶやくところ、あえて誰に対する返信か分からないようにつぶやくということか。 「職場でも休憩に入ったら即スマホです。 あの女はステマのためにしょっちゅうツイートしてるんで」 チューミンさんはコールセンターでアルバイトをしている。 国公立大学を卒業後、いろいろあって今はアルバイトをしながら都下で一人暮らしをしているという。 その「いろいろ」の部分は聞けなかったが、勉強のできる努力家なのだろう。 「本当にもう、書くこと話すこと全部許せないんです。 写真のドヤ顔とか見ると吐き気がします。 ブスのくせに」 そこまで嫌う相手、知り合いではもちろんなく、面識もないという。 きっかけは何なのか。 「詳しく話すとわかっちゃうので嫌です。 とにかく最初はブログがムカつくことばかりで、私大卒のくせに何なのこのブス、とずっと思ってたんです。 でもブログの時は嫌いなだけでコメントとかしても反応あるわけじゃないですし、見なきゃよかっただけだったんです」 チューミンさんはあまりパソコンに詳しくなかったそうだ。 携帯電話もずっとガラケー、なので昔ワープロ代わりに買った古いノートパソコンをずっと使い、ネットサーフィンや当時好きだった男性アイドルグループの情報収集くらいはしていたが、SNSのデビューは遅い。 「SNSは知ってましたし誘われたりもしましたけど、怖かったですね、誰だか知らない人とつながるなんて。 ネットは怖いとこってくらいは知ってましたし、有名人ならともかく、一般人がしたって意味ないじゃんって」 ごく普通の女性である。 チューミンさんはこの時点では普通の女性で、2000年代の匿名掲示板が跋扈したネット社会が危険なものだと知っていた。 名無しによる匿名の誹謗中傷、SNSと変わらないが、それは見に行かなければいいだけであり、テレビドラマになるなどの仕掛けはあったにせよ、某巨大掲示板そのものはいつまで経ってもアングラで表社会における市民権など得られなかった。 それに先ほどのチューミンさんの言葉の通り、匿名掲示板は「見なきゃよかった」だけの話である。 しかしSNSの誹謗中傷は自分に直接投げつけられる。 クソリプは飛んでくるナイフだ。 「でもガラケーの機種も少なくなってきて、仕方なくスマホに変えたんです。 最初は慣れなくて嫌だったんですけどだんだん使えるようになって、アプリとかも入れたんです。 そしたらすごく便利で、その中にSNSもありました。 すごく流行ってたので」 パソコンマニアやモバイルオタク以外、仕方なくスマホという買い換え層は多かった。 バッテリーの持ちも質もまだまだだったスマホに多くの人々が買い換えるようになるのは震災以降だろうか。 新しいユーザー層の流入に、ネットそのものも大きく変わっていった。 「そしたらあの女がいたんです。 ずっと調子に乗ってることはブログで見てましたし、ステマのニュースで嫌でも目に付きましたが、あの女のアカウントに行ったらフォロワーとやりあってるんですね、あの女は嫌われてるから炎上ばっか。 もちろんアンチが多いんであの女のほうが劣勢、もうワクワクしました。 時間がもったいない ネットの集団心理というのは他愛もないところから始まる。 燃やす連中しかり、チューミンさんしかり。 「私もアカウントを作ったんです。 しばらくはやっぱり怖くて見てるだけ、やり込められてるところを見てスッキリするだけだったんですけど、ある時とんでもない炎上があって、完全にあの女がボコボコ状態になったんです。 これならわからないかなと、思い切ってリプを飛ばしました。 もちろん非難の言葉です。 そしたらたくさんある中で私にレスを返してきたんですね。 その内容は失礼な見下しでしたが、反応があったってことは効いてるってことでしょ。 だから。 私にレスした!じゃあこれからはコイツに直接文句言えばいいじゃん!と」 それまで大嫌いでしかなかった有名人から貰った選ばれしリプ返、チューミンさんに「嬉しいと思いました?」と聞くと怒られてしまった。 「そうですか、宣戦布告ですか、ただそれだけです」 こうしてチューミンさんの生活のほとんどはその嫌いな女性のことばかり考え、その女性を非難することに占められた。 そしてついに、ふとした非難のリプにレスを貰い、完全に火がついた。 「朝から晩まであの女の間違ってるところを正したり、生意気なところや頭の悪いところを指摘します。 私は普段はそういうの嫌いですが、汚い言葉もわざと使います。 あの女は承認欲求のカタマリですから、こっちが黙ってたってツイートを繰り返しますし、ステマと金のためにバカな記事を書き散らしますからネタには尽きません」 正直、こんな人はSNSにうじゃうじゃいる類であり、悲しいかな珍しくもない。 先に触れた2000年代の某匿名掲示板はもちろん、規模は小さいにせよ1990年代前半のパソコン通信にもいた。 今では考えられないかもしれないがパソコン通信ではオフ会と称して赤の他人がリアルに集まったりもしたので、BBS(Bulletin Board System、掲示板)によっては地獄の様相だった。 そんなことはない、昔のパソコンユーザーはネチケットをしっかり守って健全だったと言う人もいるかもしれないが、思い出の大半は偽りの美しさで飾られるものである。 「でもね、私は本当はやめたいんです。 あの女がかわいそうとかじゃなくて、時間がもったいないし、仕事とか生活もひどいもんです。 さっきも言いましたけど、私はそういう人間じゃないんで」 チューミンさんは最近、小学校の先生になろうかと考えているそうだ。 元々勉強が好きで教えるのも好き、これまで転々とした会社でも教え魔だった。 いまのコールセンターでも新人や若い子に頼られているという。 また大学時も選択肢のひとつとして教師も考えたが、就職氷河期だったため教員採用試験の応募者が激増、その倍率に躊躇して教職の単位を諦めた経緯もある。 幸い、都道府県の教員採用試験の間口は昨今の教員不足から拡がっている。 とくに小学校の教師は不足している。 通信制大学で教職資格を取得するのも国公立大学卒のチューミンさんならわけもないだろう。 何でも年齢で否定する人がいるが、小学校の教師に限れば昔とは比べ物にならないほどに倍率は下がり、社会人枠のおかげで年齢や経歴による選別もゆるくなった。 その是非や正規、非正規の問題はあるし中高年の教職志望という特殊性から理解できない人もいるかもしれないが、チューミンさんが小学校教師を目指すことは決して非現実的な話ではない。 実際に教員になった例を私も身近に知っているし、アラフォーが小学校教員になったなんてブログは珍しくもない。 幸い、うちのコールセンターは時短のみでコロナの最中も強行したのでお金に困ることはありませんでした。 時給がいいし教師になるまでは続けたいですからね」 そんな素晴らしい目標を持ったチューミンさんは、SNSと「あの女」から離れようとは思っている。 「時短になって、時間が出来て、SNSに張り付く時間が増えちょっとヤバいな、と思い始めたんです。 勉強もし直さないといけませんし、あの女が昔ほど人気でもなくなったんで、だんだんかわいそうだなとも思えてきたんで。 なのにやめられないんです。 なぜならその対象は元気に活躍しているからということか。 私は思い切ってチューミンさんに例の事件、誹謗中傷により失われた命について聞いてみた。 「あれは本当にひどいと思います。 私はあそこまで追い詰めてませんし、死んだ女の子はかわいそうだと思います。 あんな風にみんなで追い詰めるのは許せません。 逮捕して欲しいくらい。 でも何の罪もない彼女とあの女は違います。 あの女はいまも事件を利用して訴訟するとかツイートしてるんです。 どこまでも汚い女です」 やめたいのにやめられない。 責められる方はもちろん、責めるほうも一皮むけば地獄、どんな話も「あの女」に帰結してしまう。 パソコンなら一昔前のネタ「回線切って窓から放り投げろ」、とにかくネットを断てというところだが、もはやスマホは生活に欠かせない道具となっている。 ソシャゲ中毒者に対する荒療治のようにガラケーに戻す手もあるが、4Gガラケーに変えてもSNSは出来てしまう。 「あの女がいなくなれば、やめられるのに」 私はドキッとした。 もう私ごときが根掘り葉掘りしてはいけないような気がした。 とにかくチューミンさんは小学校の先生を目指して、たくさんの子どもたちに慕われるという自分の幸せを第一に考えて欲しい。 そもそも「あの女」なんてチューミンさんと一切関係ない赤の他人だ。 幸せは比べるものじゃない。 自分が幸せならそれでいいじゃないか。 相対的な幸福ではなく、絶対的な幸福を得ることが、中高年となった団塊ジュニアの老い先には必要だ。 競争や蹴落としではない、自分だけの幸せだ。 そこには決して他者、まして赤の他人など介在してはならないし、そんな関わりのない「あの女」にそれを阻まれたら、それはそれで悔しいじゃないか。 いますぐ忘れるべきだ。 また孤独は「孤毒」である。 チューミンさんの家族関係や恋愛など聞けるわけもなかったが、生身の人間との交流、リアルにこそやめるきっかけはあると思う。 素朴でつたない考えと笑われるかもしれないが、人間とは素朴でつたないものだ。 きっとチューミンさんも教員にもしなったら小学校で思い出すだろう。 生身の人間との素朴でつたないやり取りの日々こそが大切であり、それを愛だということを。 申し訳ないが、それほどまでに大切なものはSNSになんかない。 あると思うならそれは幻想だしヤバい。 SNSそのものは便利な「道具」でしかないのだ。 その他、私などが医療面でのジャッジはできないのでアドバイスしか出来なかったが、やめたいのにやめられないなら医療機関に相談くらいはしてもいいだろうということも伝えた。 今回は難しい取材となった。 元々、SNSの誹謗中傷による事件をきっかけに、私はトレンドブログやまとめサイトを複数運営する小さな会社と取材の交渉をした経緯でチューミンさんを紹介された。 その会社とは少し取引のような形になってしまい事の詳細は明かせないが、ネットの誹謗中傷にはこのような営利企業も介在していることは事実であり、うかつに煽られたり乗せられたりしてはならない。 善人、むしろ聖人君主ではないかと言われるほど良い人が悪に染まってしまうことを表現する「闇落ち」という言葉があるように、人間とは他者を攻撃する本来的な野性を持っている。 それはひどく観念的で、エゴに基づく行為だが、本人は正しいことと信じている。 いまさらリテラシーの話を持ち出してもSNSに限れば誹謗中傷者の大多数は聞く耳など持たないし、訴訟をちらつかせても法を行使しても限界はある。 これはチューミンさんのことではないが、何も失うものが本当にない「無敵の人」には一切効かない。 結局のところ、SNSの運営会社が営利を犠牲にしても健全化を図り、国家の介在もやむないところだろうと私は考える。 テレビに出演していただけのプロレスラーの女の子を罵り、死に至らしめる言葉を「言論の自由」とは言わないだろう。 またテレビ番組そのものの是非はともかく、死ぬまで追い詰めていいという免罪符にはならないし、そもそも命題の違う話だ。 そしてチューミンさんなどは数多いる「ネット民」であり、先の「無敵の人」以外にも他者を苦しめたい、殺したいという不治の人間も存在するわけで、法的な整備は必要だ。 思想や言論の自由を脅かすという向きがあるのは当然だが、個々人の人権もまた守られなければならない。 事業者による規制と法による介在がいま求められている。 それを嫌い道徳のみをとなえる者は、「実際の道徳の世界は大部分悪意と嫉妬から成り立っている」(ゲーテ)ことを知らない幸せな人々か、知っていながら利己のためにそれをとなえる道徳の目的外利用者である。 そしてこの告白をしてくれた彼女は勇気のある人だと思う。 もちろん悪人でもない。 誰しも人間という動物である限り攻撃的な欲求からは逃れられない。 これは有名無名関係ないだろうし、有名人の中にも実名出して罵詈雑言を撒き散らしているからこれは誹謗中傷ではないという謎理論をSNS上で展開する御仁もいるようだがそれは違うだろう。 コロナという疫禍は予想通り、人間の本性を残酷なまでに露呈した。 アルベール・カミュが『ペスト』で警告した疫禍における人間の恐怖について、私たちは、世界は何も教訓とし得なかった。 いま現在もSNS上では誹謗中傷が飽くことなく続けられ、ツイ消し、アカ消しで逃げたかと思えば別アカで同じ愚行を繰り返す人間の巣窟と化している。 そしてアメリカでは、リアル社会でその愚行が繰り広げられ、暴動と混乱の火の手が全米を覆う異常事態となっている。 あのようになってはいけない。 私たち日本人なら踏みとどまれるはずだ。 1972年千葉県野田市生まれ。 日本福祉大学卒業。 評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で第14回日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。 2019年7月『ドキュメント しくじり世代』(第三書館)でノンフィクション作家としてデビュー。 12月『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)を上梓。

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